矢野喜正. 2011.「教科書編集を支える立場から - 失敗を認めない制度、間違いを許容する教育」

全国の学校の先生方に向けて発行されている定期刊行物『教室の窓』に、小論を寄稿しました。 現在、WEBで読めるようになっています。 ご興味ございましたら、下記のリンク先の資料をご覧ください。

 

教室の窓 - 中学校理科 - 2011年5月 - 臨時増刊号 - 平成24年度用新教科書特集教科書編集を支える立場から - 失敗を認めない制度、間違いを許容する教育」東京書籍

 

私がこのコラムで述べたかったのは、近年の「ユニバーサルデザイン」と呼ばれる社会動向が、その行き先を見失ってしまっているということです。 とくに、先天色覚異常の問題は、いわゆる「ユニバーサルデザイン」で解決できるほど簡単な問題ではありません。

以下別件。 「ユニバーサルデザイン」は、市場経済と抱き合わせになったとき、非常に大きな権力を手に入れます。 そこでは「困っている人がいるから改善せよ」という、キレイゴトが語られますが、それを裏付けるものは提示されません(あるいは、提示されているものが『美しい嘘』によって構築されています)。

 

そもそも「ユニバーサルデザイン」という思想は、市場経済と関わりのないところでは成立しないものなのかもしれません。 もしそうであるなら、「ユニバーサルデザイン」は、キレイゴトを使った押し売りである、ということになってしまうでしょう。

 

そうでないことを祈りながら、しかし怪しい「ユニバーサルデザイン」が巷に蔓延していることを、私は悲しく思っています。