廃止が続く各地の駐車場案内情報について

正確に統計を取ったわけではないが、全国各地の駐車場案内の情報板は、たいてい、カラーLEDで作られているように思う。これらの廃止・撤去が、各地で進められているようだ。たいした問題ではないと思うが、ちょっと興味があったので記事を拾ってみた。

駐車場案内板:高槻市、廃止検討 導入から10年、必要性の低下で /大阪
8月22日14時28分
毎日新聞
高槻市中心部の主要道路沿いに整備されている駐車場案内板が、廃止となりそうだ。駐車待ち行列や駐車場を探して回る車を減らそうと導入したが、10年以上を経てカーナビが普及、コインパーキングも増加するなどして必要性が低下してきたという。更新期を迎えたのを機に、市と関係団体などで存否を検討。今年4月から休止して市民らの反応をみているが、問い合わせは電話での1件にとどまっている。地図式のブロック案内板(縦横各3メートル)と文字式の個別案内板(縦2・6メートル、横1・4メートル)。ブロックは国道2カ所▽府道4カ所▽市道1カ所、個別は府道3カ所▽市道7カ所に設け、11の駐車場の「満車」「空車」や場所を色や文字、矢印で表示し98年4月にスタートした。道路管理者の国、府、市が各基数分を負担し、事業費は市と府で約3億円。市が管理してきた。導入10年が近づき更新を検討したところ、ブロック案内板の地図を描き直すためには全面交換が必要だった。また、06年12月に実施した市民アンケートでは、案内板を「参考にする」が回答者の36・9%、「参考にしない」が53%だった。市は09年度、国、府、駐車場運営者、高槻署とで存続についての検討会を設けた。協議の結果、アンケートでの市民の意見が判然としないなどの理由で、当面休止して様子をみることに。今年3月の市の広報紙で告知し、4月から休止した。5月末には「休止中」と書いた幕を全案内板に掲示。市交通安全課は「問い合わせにどう説明するか身構えていた」というが、今月20日現在、市側に寄せられたのは、苦情ともとれない電話での1件だけだという。今月下旬に検討会を予定する。同課は「高槻は観光都市でもなく、更新して存続するほどの費用対効果があるとはいえない。休止に対する市民の反応状況などを説明し、できれば廃止の方向で決めたい」としている。【八重樫裕一】

ああ10億円…長野市、駐車場案内板撤去
2010年6月9日23時41分
読売新聞
長野市が設置した「駐車場案内システム」の運用が昨年末で終わり、撤去作業が進められている。有効性への疑問符がつき、認知度も高まらないままに終わった、この事業に10億円以上の税金が投入された。長野市は1997年、駐車場を探す観光客の車で、市中心部が渋滞するのを避けるため、国の補助も合わせ約8億1000万円をかけてシステムを整備。中心部の国道上などに、駐車場の空き情報を知らせる案内板24基を設置した。市交通政策課は、97年の善光寺御開帳や98年の長野冬季五輪では、駐車場待ちの車が減少し、「当初は一定の効果があった」と分析する。だが、その後は、不況の影響などで、市中心部の更地が増え、それに伴って時間貸し駐車場も増加。97年には約40か所(約4600台分)だったのが、昨年は約100か所(約7200台分)にまで増え、駐車場待ちも減った。システムの存在は、市民の間にも、あまり浸透しなかった。05年に市が行ったアンケートでは、「利用したことがある」市民は約29%、「有効」とした市民は約22%に過ぎなかった。同じ年に、システムに参加する駐車場の経営者を対象に行ったアンケートでも、「システムに参加して利用者が増えた」は0%で、「今後も必要」としたのは約38%にとどまった。さらに、年7万2000円~9万6000円かかる管理運営負担金を嫌い、97年度に24か所あった参加駐車場も、09年度には13か所にまで減った。案内板などの設備が老朽化し、部品製造が中止されたこともあり、市は09年末でシステムの運用を終えることを決定。昨年度から今年度にかけて、約2000万円かけて撤去作業を行っている。これまでにかかった維持管理費は計約2億4000万円。市都市計画課は「設置当時は役立ったが、パソコンや携帯電話、ナビなどで駐車場情報が取れるようになった。時代の流れに取り残された」としている。国土交通省街路交通施設課によると、国はこれまで、建設費の3分の1を補助して、約80都市で同システムの整備を支援してきた。だが、少なくとも十数か所の都市で、同システムはすでに廃止。地方行政に詳しい信州大経済学部の沼尾史久教授は「納税者からすれば、本当に有効かどうかの見通しがきかないまま事業を進めるのは困る」と話している。(写真)まだ残っている駐車場案内システム。情報はもう表示されていない(長野市の長野大通りで)

高松市中心部の駐車場空き情報案内板廃止へ
2009/01/29 09:36
四国新聞社
香川県高松市中心部の幹線道路上部に設置され、主な駐車場の空き情報を電光掲示する案内板システムが廃止されることになった。修繕のために部品を特注する必要があるほか、案内対象に入っていないコインパーキングが増加するなど、採算が合わなくなったため。月内に電気・通信回線を廃止、案内板自体は撤去も含めて国、香川県、高松市で検討する。案内板は市街地全体の大まかな状況を知らせる「ブロック案内板」が7基、市役所周辺などエリアを分けた「補助ブロック案内板」が2基、駐車場ごとの状況が分かる「個別案内板」が29基の計38基を国、香川県、高松市が約6億円かけて1994年に設置した。案内対象は30台以上の駐車場で、民間を含む計39カ所の約4300台。個別の案内板では、満車の場合は駐車場名の右側に「満」、すいている場合は緑色の矢印、混雑している場合はオレンジ色の矢印で電光表示し、利用者に知らせてきた。システムは市中央公園地下駐車場の管理局で集中制御し、年間の維持管理費は約500万円。しかし、14年が経過して老朽化が進み、38基のうち16基で表示が出ないなどの故障を抱えている。修理しようにも部品の多くが汎用性がなく、すべてを修理する場合は特注で約9000万円が必要という。近年は安いコインパーキングの普及で利用者のニーズが低下し、掲示している駐車場の大半で空車が目立つ状況。同様のシステムを導入している全国の他都市で廃止が進んでいることもあり、廃止を決めた。