色覚検査と「差別」について

【質問】 色覚異常が差別であるととの認識が広まりつつあります。色覚検査と言えば石原式でしょう! そもそもあの本で正確な色覚が判断できるのでしょう か? シンプルに信号が見えるかとか現実的な試験のほうがよいと思います。色覚異常者が就職や進学で道を絶たれることはあってはなりません。そもそもなぜ 石原式が基準なんだ?(Yahoo知恵袋より)

【回答】 これはご質問ではなく、ご意見ですね。このご質問には複数のご意見が含まれていますので、それぞれ分離させて回答させていただきます。

(1)色覚異常は差別か
色覚異常は身体の特性であって、差別ではありません。したがって、健康診断によって色覚異常を発見することも、差別ではありません。なお、色覚異常という身体特性が社会的な差別に繋がるような現象を指して、その社会現象に対して「差別である」と言うことはできるでしょう。

(2)色覚検査はどのような方法であるべきか
検査は目的にあった方法で行うべきです。色覚異常の発見が目的であるなら医学的な方法で行うべきで、仮性同色表を用いることは間違っていません。しかし、進学や就職に関しては支障の有無の発見が目的でありますから、仮性同色表の結果 "だけ" をもって判断するのは間違いであるということになるでしょう。

(3)色覚検査の標準的な方法が石原表であるのはなぜか
石原表が高精度であることが国際的にも評価されており、かつ、使用方法が簡便であるからです。

(4)石原表で正確に色覚が診断できるか
色覚異常の確定診断は、石原表だけでなく、アノマロスコープを含めた複数の検査の結果をもって総合的に判断しなければならないとされています。

(5)色覚異常者が就職や進学の際に道を絶たれることは許されないのではないか
色覚異常には先天色覚異常と後天色覚異常がありますが、いずれも個人差が大きいものです。そのすべてをひっくるめた「色覚異常者」というカテゴリーに対して制度の是非を語るのは無理があるでしょう。個人個人の能力を見極めた上で進路適性に関する制度を考察するべきだと思います。